仙腸関節 (Sacroiliac Joint)とは

目次

仙腸関節 (Sacroiliac Joint)

概要

仙腸関節(せんちょうかんせつ、英: Sacroiliac Joint, SI Joint)は、仙骨(Sacroiliac)と腸骨(Ilium)をつなぐ関節であり、骨盤の一部を形成します。仙腸関節は、体重を下肢に伝える役割を果たし、脊椎と骨盤の間の動きを調整します。この関節は、非常に強固でありながらわずかな動きしか持たない安定性の高い関節です。

仙腸関節の構造

仙腸関節は、以下の主要な構造で構成されています:

  1. 骨構造:
    • 仙骨(Sacrum): 脊柱の下部に位置する三角形の骨で、5つの椎骨が癒合して形成されています。
    • 腸骨(Ilium): 骨盤の上部に位置する広い骨で、仙骨と接合します。
  2. 関節構造:
    • 仙腸関節面(Sacroiliac Joint Surfaces): 仙骨と腸骨の関節面が接触し、わずかな動きを可能にします。
  3. 軟部組織:
    • 関節包(Joint Capsule): 仙腸関節を包む強靭な膜で、関節を安定させます。
    • 靱帯(Ligaments):
      • 前仙腸靱帯(Anterior Sacroiliac Ligament): 仙骨と腸骨の前面をつなぐ靱帯。
      • 後仙腸靱帯(Posterior Sacroiliac Ligament): 仙骨と腸骨の後面をつなぐ靱帯。
      • 仙棘靱帯(Sacrospinous Ligament): 仙骨と坐骨棘をつなぐ靱帯。
      • 仙結節靱帯(Sacrotuberous Ligament): 仙骨と坐骨結節をつなぐ靱帯。

仙腸関節の機能

仙腸関節は、以下の機能を果たします:

  1. 体重の伝達:
    • 仙腸関節は、上半身から下肢へ体重を効果的に伝達します。
  2. 安定性の提供:
    • 仙腸関節は、骨盤と脊柱の間の安定性を提供し、姿勢の維持をサポートします。
  3. わずかな動きの許容:
    • 仙腸関節は、歩行やランニング時にわずかな動きを許容し、衝撃を吸収します。

仙腸関節の役割と日常動作

  1. 歩行とランニング:
    • 仙腸関節は、歩行やランニング時に体重を下肢に伝え、安定性を提供します。
  2. 立ち上がりと座る動作:
    • 仙腸関節は、立ち上がる、座るなどの動作において重要な役割を果たします。
  3. 体重移動:
    • 仙腸関節は、体重を片足から他の足へ移動する際の安定性を提供します。

仙腸関節の強化方法

  1. 体幹強化エクササイズ:
    • プランクやサイドプランクなどの体幹強化エクササイズを行い、仙腸関節の安定性を向上させます。
  2. ブリッジ(Bridge):
    • 仰向けに寝て、膝を曲げてお尻を持ち上げる動作で、臀部や腰椎の筋肉を強化します。
  3. バードドッグ(Bird Dog):
    • 四つん這いの状態で、対角線上の手足を伸ばし、仙腸関節の安定性とバランスを向上させます。
  4. ヒップヒンジ(Hip Hinge):
    • 腰を曲げて前方に倒し、臀部と腰椎の筋肉を強化します。

仙腸関節のストレッチ

  1. 膝抱えストレッチ(Knee-to-Chest Stretch):
    • 仰向けに寝て、片膝を胸に引き寄せて仙腸関節の筋肉をストレッチします。
  2. ピジョンポーズ(Pigeon Pose):
    • ヨガのポーズで、片脚を前方に曲げて体を前方に倒し、仙腸関節の外旋筋をストレッチします。
  3. チャイルドポーズ(Child’s Pose):
    • 四つん這いの状態からお尻をかかとに近づけ、背中を伸ばして仙腸関節の後面をストレッチします。
  4. ハムストリングスストレッチ(Hamstring Stretch):
    • 片脚を前方に伸ばし、体を前方に倒して仙腸関節の筋肉をストレッチします。

仙腸関節の関連疾患と怪我

  1. 仙腸関節炎(Sacroiliitis):
    • 仙腸関節の炎症で、痛みや硬直が生じる状態です。
  2. 仙腸関節機能障害(Sacroiliac Joint Dysfunction):
    • 仙腸関節の動きが制限され、痛みが生じる状態です。
  3. 仙腸関節靱帯損傷(Sacroiliac Ligament Injury):
    • 仙腸関節の靱帯が損傷し、痛みや不安定感が生じる状態です。

仙腸関節の健康維持

  1. 適切な姿勢の維持:
    • 座っている時や立っている時に、骨盤と脊柱を適切な位置に保つことが重要です。
  2. 定期的な運動:
    • 仙腸関節周りの筋肉を強化し、柔軟性を維持するために、定期的に運動を行います。
  3. 適度な休息とストレッチ:
    • 長時間同じ姿勢でいる場合、定期的に休息を取り、仙腸関節をストレッチします。
  4. 正しいフォームの使用:
    • 運動や作業時には、正しいフォームを保ち、仙腸関節の筋肉や関節に過度の負担をかけないようにします。
  5. 適切な栄養摂取:
    • 筋肉と関節の健康を維持するために、適切なタンパク質や栄養素を摂取します。

まとめ

仙腸関節は、仙骨と腸骨をつなぐ関節であり、体重を下肢に伝え、脊柱と骨盤の間の動きを調整します。日常生活や運動において、仙腸関節はさまざまな動作に関与し、その健康を維持するためには、適切なエクササイズ、ストレッチ、栄養摂取が必要です。仙腸関節を大切にし、全体的なフィットネスと健康を向上させるために、バランスの取れたトレーニングを行いましょう。

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この記事を書いた人

パーソナルトレーニング/治療院 連動性療法のバックエイジング。痛みのある部位だけではなく、痛みのある動きに影響を与えている関連している全身の関節の動きにも着目し、正しい筋の使い方に戻していきます。全身の連動性を高めるため、結果的に痛みを取り除くだけではなく、疲れにくく、怪我のしにくい体に若返らせることを目指しています。

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