手根骨 (Carpal Bones)とは

目次

手根骨 (Carpal Bones)

概要

手根骨(しゅこんこつ、英: Carpal Bones)は、手首を構成する8つの小さな骨で、2列に分かれて並んでいます。手根骨は、手首の柔軟性と安定性を提供し、手の動きをサポートします。これらの骨は、手の基部と前腕の骨(橈骨尺骨)をつなぎ、複雑な関節構造を形成します。

手根骨の構造

手根骨は、近位列(前腕に近い側)と遠位列(手のひらに近い側)の2列に分かれています。

近位列 (Proximal Row)

  1. 舟状骨 (Scaphoid):
    • 手の親指側に位置し、最も大きな手根骨の一つです。橈骨と関節を形成します。
  2. 月状骨 (Lunate):
    • 舟状骨の隣に位置し、半月形の骨です。橈骨と関節を形成します。
  3. 三角骨 (Triquetrum):
    • 小指側に位置し、月状骨の隣にあります。尺骨の三角靱帯と接触します。
  4. 豆状骨 (Pisiform):
    • 三角骨の前に位置し、豆のような形をした骨です。手根屈筋腱の中に含まれます。

遠位列 (Distal Row)

  1. 大菱形骨 (Trapezium):
    • 親指の基部に位置し、第一中手骨(親指の骨)と関節を形成します。
  2. 小菱形骨 (Trapezoid):
    • 大菱形骨の隣に位置し、第二中手骨(人差し指の骨)と関節を形成します。
  3. 有頭骨 (Capitate):
    • 遠位列の中央に位置し、最大の手根骨です。第三中手骨(中指の骨)と関節を形成します。
  4. 有鉤骨 (Hamate):
    • 小指側に位置し、鉤状突起(Hook of Hamate)を持ちます。第四および第五中手骨(薬指と小指の骨)と関節を形成します。

手根骨の機能

  1. 手首の柔軟性と安定性:
    • 手根骨は、手首の複雑な動きを可能にし、手の柔軟性を提供します。
  2. 力の分散:
    • 手根骨は、手にかかる力を分散し、衝撃を吸収します。これにより、手首や手の関節が保護されます。
  3. 手と前腕の連結:
    • 手根骨は、前腕の骨(橈骨と尺骨)と手の中手骨をつなぎ、安定した基盤を提供します。

手根骨に付着する主な筋肉と靭帯

  1. 手根屈筋群 (Flexor Muscles):
    • 尺側手根屈筋 (Flexor Carpi Ulnaris):
      • 豆状骨に付着し、手首の屈曲と内転を助けます。
    • 橈側手根屈筋 (Flexor Carpi Radialis):
      • 手根骨を越えて手のひら側に走り、手首の屈曲と外転を助けます。
  2. 手根伸筋群 (Extensor Muscles):
    • 尺側手根伸筋 (Extensor Carpi Ulnaris):
      • 手根骨を越えて手の背側に走り、手首の伸展と内転を助けます。
    • 橈側手根伸筋 (Extensor Carpi Radialis Longus and Brevis):
      • 手根骨を越えて手の背側に走り、手首の伸展と外転を助けます。
  3. 手根管 (Carpal Tunnel):
    • 手根骨によって形成されるトンネルで、指を動かす腱と正中神経(Median Nerve)が通過します。

手根骨の関連疾患と怪我

  1. 手根管症候群 (Carpal Tunnel Syndrome):
    • 手根管内の正中神経が圧迫されることにより、手や指に痛み、しびれ、筋力低下が生じます。
    • 治療には、理学療法、装具の使用、場合によっては手術が必要です。
  2. 舟状骨骨折 (Scaphoid Fracture):
    • 手根骨の中で最も骨折しやすい骨です。転倒や手をついた際に発生します。
    • 治療には、固定、場合によっては手術が必要です。
  3. キーンベック病 (Kienböck’s Disease):
    • 月状骨への血流が途絶えることにより、骨の壊死が生じる疾患です。
    • 治療には、手術や装具の使用が必要です。

手根骨の健康維持

  1. 適切なエクササイズ:
    • 手首と手の筋肉を強化するエクササイズを行うことで、手根骨の安定性を維持します。
    • 特に、手首の屈曲、伸展、回外、回内運動を含むエクササイズが有効です。
  2. 保護具の使用:
    • スポーツやリスクの高い活動を行う際には、適切な手首サポートや保護具を使用して怪我を予防します。
  3. 適切な姿勢とテクニック:
    • キーボード作業や重い物を持ち上げる際には、正しい姿勢とテクニックを使用することで、手根骨への過度な負担を避けます。

まとめ

手根骨は、手首の柔軟性と安定性を提供し、手の動きをサポートする重要な骨です。手根骨の健康を維持するためには、適切なエクササイズ、保護具の使用、正しい姿勢とテクニックが重要です。手根骨を大切にし、日常生活やスポーツ活動においてその機能を最大限に活かすことが、全体的な健康と幸福感を高める鍵となります。

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この記事を書いた人

パーソナルトレーニング/治療院 連動性療法のバックエイジング。痛みのある部位だけではなく、痛みのある動きに影響を与えている関連している全身の関節の動きにも着目し、正しい筋の使い方に戻していきます。全身の連動性を高めるため、結果的に痛みを取り除くだけではなく、疲れにくく、怪我のしにくい体に若返らせることを目指しています。

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