手根中手関節 (Carpometacarpal Joint)とは

目次

手根中手関節 (Carpometacarpal Joint)

概要

手根中手関節(しゅこんちゅうしゅかんせつ、英: Carpometacarpal Joint, CMC Joint)は、手根骨(Carpal Bones)と中手骨(Metacarpal Bones)をつなぐ関節であり、手の基本的な動きを可能にする重要な関節です。特に、親指のCMC関節(第1手根中手関節)は、対立運動(Thumb Opposition)を可能にし、手の機能性を大きく高めます。

手根中手関節の構造

手根中手関節は、以下の主要な構造で構成されています:

  1. 骨構造:
    • 手根骨(Carpal Bones):
      • 近位列(Proximal Row): 舟状骨(Scaphoid)、月状骨(Lunate)、三角骨(Triquetrum)、豆状骨(Pisiform)
      • 遠位列(Distal Row): 大菱形骨(Trapezium)、小菱形骨(Trapezoid)、有頭骨(Capitate)、有鈎骨(Hamate)
    • 中手骨(Metacarpal Bones): 1から5までの中手骨
  2. 関節構造:
    • 第1手根中手関節(1st Carpometacarpal Joint, 1st CMC Joint): 大菱形骨と第1中手骨の間の鞍関節(Saddle Joint)。
    • 第2-5手根中手関節(2nd-5th Carpometacarpal Joints, 2nd-5th CMC Joints): 小菱形骨、有頭骨、有鈎骨と第2-5中手骨の間の関節。
  3. 軟部組織:
    • 関節包(Joint Capsule): 手根中手関節を包む強靭な膜で、関節を安定させます。
    • 靱帯(Ligaments):
      • 掌側手根中手靱帯(Palmar Carpometacarpal Ligaments): 手のひら側の靱帯で、関節を安定させます。
      • 背側手根中手靱帯(Dorsal Carpometacarpal Ligaments): 手の甲側の靱帯で、関節を安定させます。
      • 内側側副靱帯(Medial Collateral Ligaments): 手の内側をサポートします。
      • 外側側副靱帯(Lateral Collateral Ligaments): 手の外側をサポートします。

手根中手関節の機能

手根中手関節は、以下の多方向の動きを可能にします:

  1. 屈曲(Flexion)と伸展(Extension):
    • 手の指を曲げる(屈曲)および伸ばす(伸展)動作。
  2. 外転(Abduction)と内転(Adduction):
    • 指を手の中心から離す(外転)および手の中心に近づける(内転)動作。
  3. 対立(Opposition)(特に親指のCMC関節):
    • 親指を他の指に向かって対向させる動作。

手根中手関節の役割と日常動作

  1. 物をつかむ、持つ:
    • 手根中手関節は、物をしっかりとつかむ、持つ、握る動作において重要な役割を果たします。
  2. 精密動作:
    • 書く、タイピングする、小さな物を拾うなどの細かい動作に関与します。
  3. 日常生活の動作:
    • 食事をする、服を着る、道具を使用するなどのあらゆる日常的な動作に関与します。

手根中手関節の強化方法

  1. グリップエクササイズ(Grip Exercises):
    • ハンドグリッパーや握力ボールを使用して、手全体の筋力を強化します。
  2. 親指の対立運動エクササイズ(Thumb Opposition Exercises):
    • 親指を他の指に向かって動かすエクササイズで、親指の筋力を強化します。
  3. 手首の屈曲と伸展エクササイズ(Wrist Flexion and Extension Exercises):
    • ダンベルや抵抗バンドを使用して、手首の屈曲と伸展の動作を行います。
  4. 手の開閉エクササイズ(Finger Flexion and Extension Exercises):
    • 手を広げたり閉じたりするエクササイズで、手根中手関節の筋力と柔軟性を向上させます。

手根中手関節のストレッチ

  1. 手の屈曲ストレッチ(Hand Flexion Stretch):
    • 片手を前方に伸ばし、反対の手で指を下方に引き、手の前面をストレッチします。
  2. 手の伸展ストレッチ(Hand Extension Stretch):
    • 片手を前方に伸ばし、反対の手で指を上方に引き、手の背面をストレッチします。
  3. 親指の対立ストレッチ(Thumb Opposition Stretch):
    • 親指を他の指に向かって動かし、親指の筋肉をストレッチします。
  4. 手の外転と内転ストレッチ(Finger Abduction and Adduction Stretch):
    • 指を広げて、指の間をストレッチします。

手根中手関節の関連疾患と怪我

  1. 手根管症候群(Carpal Tunnel Syndrome):
    • 手根管内の正中神経が圧迫され、手や指に痛みやしびれが生じる状態です。
  2. 母指CM関節症(Thumb CMC Joint Arthritis):
    • 親指のCMC関節の変形性関節症で、痛みや硬直が生じる状態です。
  3. 腱鞘炎(Tendinitis):
    • 手根中手関節や手の腱が炎症を起こし、痛みや腫れが生じる状態です。過度の使用が原因となります。
  4. 手根中手関節捻挫(CMC Joint Sprain):
    • 手根中手関節の靱帯が損傷し、痛みや腫れが生じる状態です。

手根中手関節の健康維持

  1. 適切なウォームアップとクールダウン:
    • 運動前後には、十分なウォームアップとクールダウンを行い、手の筋肉を準備し、リカバリーを促進します。
  2. 正しいフォームの使用:
    • 運動時には、正しいフォームを保ち、手の筋肉や関節に過度の負担をかけないようにします。
  3. バランスの取れたトレーニング:
    • 手根中手関節周りの筋肉だけでなく、手全体と前腕の筋肉をバランスよく鍛えることで、全体的な強化と安定性が向上します。
  4. 適切な栄養摂取:
    • 筋肉と関節の健康を維持するために、適切なタンパク質や栄養素を摂取します。

まとめ

手根中手関節は、手根骨と中手骨をつなぐ関節であり、手の基本的な動きを可能にする重要な役割を果たします。日常生活やスポーツにおいて、手根中手関節はさまざまな動作に関与し、その健康を維持するためには、適切なエクササイズ、ストレッチ、栄養摂取が必要です。手根中手関節を大切にし、全体的なフィットネスと健康を向上させるために、バランスの取れたトレーニングを行いましょう。

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この記事を書いた人

パーソナルトレーニング/治療院 連動性療法のバックエイジング。痛みのある部位だけではなく、痛みのある動きに影響を与えている関連している全身の関節の動きにも着目し、正しい筋の使い方に戻していきます。全身の連動性を高めるため、結果的に痛みを取り除くだけではなく、疲れにくく、怪我のしにくい体に若返らせることを目指しています。

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