膝蓋骨周囲の痛みについて

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膝蓋骨周囲の痛み 概要

膝蓋骨周囲の痛み(Peripatellar Pain)は、膝のお皿(膝蓋骨)を中心とした周囲の組織に炎症や異常が生じ、痛みが発生する状態です。この痛みは、膝の前面や膝周辺に局所化することが多く、膝を曲げたり伸ばしたりする際に強く感じることがあります。特に、ランニングや階段の上り下りなど、膝に負荷がかかる動作で痛みが悪化することが一般的です。

この症状は、スポーツ選手や運動を頻繁に行う人々に多く見られますが、姿勢不良や筋力の低下によって一般の人にも発生することがあります。

原因

膝蓋骨周囲の痛みの原因は多岐にわたりますが、主に以下の要因が考えられます。

  1. 膝蓋骨の位置異常(膝のお皿が正しい位置からずれること): 膝蓋骨が正しい位置から逸脱して動くことで、周囲の組織に負担がかかり、痛みが発生します。膝蓋骨脱臼は、膝蓋骨の位置異常の一形態であり、初回脱臼の発生頻度は一般人口で年間10万人あたり5.8人、16歳以下では年間10万人あたり43人と報告されています。
  2. 筋力の不均衡: 太ももの前面(大腿四頭筋)の筋力低下や不均衡により、膝蓋骨にかかる圧力が不均等になり、痛みを引き起こします。
  3. 過度の使用: 繰り返し膝に負担をかける動作(例: ランニング、ジャンプ)によって、膝蓋骨周囲の組織が炎症を起こします。
  4. 外傷: 直接的な打撃や転倒によって膝蓋骨やその周辺が損傷し、痛みが生じることがあります。

症状

膝蓋骨周囲の痛みには、以下のような症状が見られます。

  • 前膝痛: 膝の前側に局所的な痛みを感じることが最も一般的です。
  • 膝の可動域制限: 痛みのために膝を十分に曲げたり伸ばしたりすることが困難になることがあります。
  • 階段や坂道での痛み: 特に階段を降りる際や坂道を下る際に、膝に強い痛みを感じることが多いです。
  • 長時間の座位での不快感(映画館症候群): 長時間座っていると、膝の前面に痛みや圧迫感が生じることがあります。

診断方法

膝蓋骨周囲の痛みは、以下の方法で診断されます。

  1. 問診と身体検査: 医師が患者の症状や日常生活での活動を詳しく聞き取り、膝の可動域や膝蓋骨の動きの異常を調べます。
  2. X線検査: 骨の位置や関節の異常を確認するために行われます。膝蓋骨の位置異常を確認することが目的です。
  3. MRI検査(磁気共鳴画像法): 軟部組織(靱帯、腱、筋肉)の損傷や炎症の状態を詳細に確認します。MRI検査は、レントゲン検査では特定できない膝蓋骨周囲の問題を診断する際に非常に有用であり、多くの整形外科医が推奨しています。

治療法

膝蓋骨周囲の痛みに対する治療は、原因や症状の重さによって異なります。以下の治療法が一般的に用いられます。

  1. 保存療法: 痛みが軽度の場合、安静にして膝への負荷を減らすことが効果的です。アイシングや抗炎症薬の服用も勧められます。
  2. 理学療法: 膝周囲の筋肉を強化し、膝蓋骨の位置を改善するためのエクササイズが推奨されます。特に、大腿四頭筋の強化が重要です。
  3. 装具の使用: 膝蓋骨の安定性を保つために、膝用のサポーターやテーピングを使用することがあります。
  4. 手術療法: 保存療法や理学療法で改善が見られない場合、手術が検討されます。主に膝蓋骨の再配置や関節内の問題を修正する手術が行われます。

予防法

膝蓋骨周囲の痛みを予防するためには、以下の点に注意することが重要です。

  • 適切なストレッチ: 運動前後にしっかりと膝周囲の筋肉をストレッチすることで、負荷を軽減できます。
  • 筋力強化: 大腿四頭筋やハムストリングなど、膝を支える筋肉の強化が重要です。特に体幹トレーニングを取り入れることで膝への負荷を分散できます。
  • 正しい姿勢と動作: 日常生活やスポーツで膝に過度な負荷をかけないよう、正しい姿勢やフォームを意識することが大切です。
  • 適切なシューズの使用: 膝にかかる衝撃を緩和するために、クッション性の高い靴を選ぶことが推奨されます。

まとめ

膝蓋骨周囲の痛み(Peripatellar Pain)は、膝の前面に痛みを感じる疾患であり、スポーツや日常生活で膝に過度な負荷をかけることが原因となります。適切な治療や予防策を講じることで、痛みの緩和と再発の予防が可能です。症状が軽い場合は、安静や理学療法によって改善が期待できますが、症状が重い場合は専門的な医師の診断を受け、手術を検討する必要があります。

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この記事を書いた人

パーソナルトレーニング/治療院 連動性療法のバックエイジング。痛みのある部位だけではなく、痛みのある動きに影響を与えている関連している全身の関節の動きにも着目し、正しい筋の使い方に戻していきます。全身の連動性を高めるため、結果的に痛みを取り除くだけではなく、疲れにくく、怪我のしにくい体に若返らせることを目指しています。

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