小腰筋(しょうようきん)とは

目次

小腰筋(しょうようきん、英: Psoas Minor)

概要

小腰筋は、腹部の深層に位置する細長い筋肉で、大腰筋(Psoas Major)の上部に位置しています。小腰筋は、腰椎(Lumbar Vertebrae)から骨盤にかけて伸びており、腰部の安定性と屈曲に関与します。小腰筋は、すべての人に存在するわけではなく、約40-60%の人に見られないこともあります。

解剖学的構造

小腰筋は以下の解剖学的特徴を持ちます:

  1. 起始(Origin):
    • 第12胸椎(T12)および第1腰椎(L1)の椎体(Vertebral Body)と椎間板(Intervertebral Disc)から起始します。
  2. 停止(Insertion):
    • 恥骨櫛(Pectineal Line)および腸腰筋膜(Iliopubic Eminence)に停止します。
  3. 神経支配(Innervation):
    • 腰神経叢(Lumbar Plexus)のL1枝によって支配されます。
  4. 血液供給(Blood Supply):
    • 腰動脈(Lumbar Arteries)および腸腰動脈(Iliolumbar Artery)から血液供給を受けます。

機能

小腰筋の主要な機能は以下の通りです:

  1. 腰部の屈曲(Flexion):
    • 腰椎の屈曲を補助し、体幹を前屈させる動作に関与します。
  2. 腰部の安定化:
    • 腰椎の安定性を提供し、姿勢の維持に貢献します。

腸腰筋(Iliopsoas)の概要

腸腰筋は、体幹と下肢をつなぐ主要な筋肉群で、股関節の屈曲を主な役割としています。腸腰筋は、大腰筋(Psoas Major)、小腰筋(Psoas Minor)、腸骨筋(Iliacus)の3つの筋肉から構成されています。

腸腰筋の構成要素

  1. 大腰筋(Psoas Major):
    • 起始: T12からL5の椎体および椎間板、腰椎の横突起(Transverse Processes)。
    • 停止: 大腿骨の小転子(Lesser Trochanter)。
    • 機能: 股関節の屈曲、外旋、腰椎の安定。
  2. 小腰筋(Psoas Minor):
    • 起始: T12およびL1の椎体と椎間板。
    • 停止: 恥骨櫛(Pectineal Line)および腸腰筋膜(Iliopubic Eminence)。
    • 機能: 腰椎の屈曲と安定(すべての人に存在するわけではない)。
  3. 腸骨筋(Iliacus):
    • 起始: 腸骨窩(Iliac Fossa)および仙骨の一部。
    • 停止: 大腿骨の小転子(Lesser Trochanter)で大腰筋と融合。
    • 機能: 股関節の屈曲および外旋。

小腰筋と腸腰筋の関連

  1. 解剖学的関連:
    • 小腰筋は、大腰筋の上部に位置し、両者は密接に関連しています。腸腰筋全体としては、体幹と下肢をつなぎ、股関節の屈曲を行います。
  2. 機能的関連:
    • 小腰筋が存在する場合、その役割は腰椎の屈曲と安定です。これに対し、大腰筋と腸骨筋は主に股関節の屈曲を担当します。小腰筋が存在しない場合でも、腸腰筋は強力な股関節屈曲筋として機能します。
  3. 協調的動作:
    • 小腰筋、大腰筋、腸骨筋は、協調して腰椎と股関節の動きをサポートします。特に、腰椎から骨盤、大腿骨にかけての動きで重要な役割を果たします。

小腰筋の役割と日常動作

小腰筋は、以下のような日常動作において重要な役割を果たします:

  1. 体幹の前屈:
    • 体を前に曲げる動作を補助します。
  2. 姿勢の維持:
    • 座位や立位での姿勢を保つために腰椎を安定させます。
  3. 呼吸の補助:
    • 腹部の圧力調整を助けることで、呼吸にも間接的に関与することがあります。

小腰筋の強化方法

小腰筋を強化するためのエクササイズには、以下のようなものがあります:

  1. プランク(Plank):
    • 体幹全体を強化するエクササイズで、小腰筋を含む深層筋群を鍛えます。
  2. レッグレイズ(Leg Raises):
    • 仰向けに寝て脚を持ち上げるエクササイズで、小腰筋を含む腹部の筋肉を強化します。
  3. ヒップフレクサーエクササイズ(Hip Flexor Exercises):
    • 体幹を安定させながら、股関節屈筋群を鍛えるエクササイズです。

小腰筋のストレッチ方法

小腰筋をストレッチする方法には、以下のようなものがあります:

  1. ラウンジストレッチ(Lunge Stretch):
    • 前脚を曲げ、後脚を伸ばして腰を沈めるストレッチで、腰部および股関節屈筋群を伸ばします。
  2. キャットカウ(Cat-Cow Stretch):
    • 四つん這いになり、背中を丸めたり反らせたりするストレッチで、腰部の筋肉をリラックスさせます。
  3. ハムストリングストレッチ(Hamstring Stretch):
    • 仰向けに寝て片脚を伸ばし、もう片方の脚を胸に引き寄せるストレッチで、腰部と下肢の筋肉を伸ばします。

小腰筋の関連疾患と怪我

小腰筋には、以下のような疾患や怪我が関連することがあります:

  1. 筋筋膜性疼痛症候群(Myofascial Pain Syndrome):
    • 小腰筋にトリガーポイントが形成され、腰部や腹部に痛みが生じる状態です。
  2. 筋肉の過度な使用:
    • 長時間の座位や過度な前屈動作により、小腰筋が疲労し、痛みが生じることがあります。
  3. 腰痛(Lower Back Pain):
    • 小腰筋の緊張や炎症が原因で、慢性的な腰痛が生じることがあります。

小腰筋の健康維持

小腰筋の健康を維持するためには、以下の点に注意することが重要です:

  1. 適切なエクササイズ:
    • 小腰筋を含む体幹の筋肉を強化するエクササイズを定期的に行います。
  2. 適度な休息:
    • 過度の使用を避け、筋肉をリラックスさせるために休息を取ります。
  3. 正しい姿勢の維持:
    • 座位や立位での正しい姿勢を意識し、小腰筋に過度な負担をかけないようにします。
  4. ストレッチ:
    • 小腰筋の柔軟性を保つために、定期的にストレッチを行います。
  5. バランスの取れた栄養摂取:
    • 筋肉の健康を維持するために、適切なタンパク質や栄養素を摂取します。

まとめ

小腰筋は、腰椎から骨盤にかけて伸びる細長い筋肉で、腰部の安定性と屈曲に関与します。小腰筋を強化し、柔軟性を維持することで、腰痛の予防や姿勢の改善に役立ちます。適切なエクササイズやストレッチ、姿勢の管理を通じて、小腰筋の健康を維持し、全体的な身体機能と健康を向上させることが重要です。

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この記事を書いた人

パーソナルトレーニング/治療院 連動性療法のバックエイジング。痛みのある部位だけではなく、痛みのある動きに影響を与えている関連している全身の関節の動きにも着目し、正しい筋の使い方に戻していきます。全身の連動性を高めるため、結果的に痛みを取り除くだけではなく、疲れにくく、怪我のしにくい体に若返らせることを目指しています。

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