斜角筋 (Scalene Muscles)とは

目次

斜角筋 (Scalene Muscles)

概要

斜角筋(しゃかくきん、英: Scalene Muscles)は、首の側面に位置する筋肉群で、頚椎を安定させ、呼吸を補助する役割を果たします。斜角筋は前斜角筋、中斜角筋、後斜角筋の3つの筋肉から構成され、首の運動や姿勢の維持、肋骨の挙上に関与します。

斜角筋の構造

斜角筋は、以下の3つの主要な筋肉で構成されています:

  1. 前斜角筋(Anterior Scalene):
    • 起始: 第3から第6頚椎の横突起(Transverse Processes of C3-C6)
    • 停止: 第1肋骨の上縁(Superior Surface of the First Rib)
    • 機能: 頚椎の屈曲および側屈、肋骨の挙上(呼吸補助)
  2. 中斜角筋(Middle Scalene):
    • 起始: 第2から第7頚椎の横突起(Transverse Processes of C2-C7)
    • 停止: 第1肋骨の上縁
    • 機能: 頚椎の側屈、肋骨の挙上(呼吸補助)
  3. 後斜角筋(Posterior Scalene):
    • 起始: 第4から第6頚椎の横突起(Transverse Processes of C4-C6)
    • 停止: 第2肋骨の外側面(Lateral Surface of the Second Rib)
    • 機能: 頚椎の側屈、肋骨の挙上(呼吸補助)

斜角筋の機能

  1. 頚椎の屈曲および側屈(Flexion and Lateral Flexion of the Cervical Spine):
    • 斜角筋は、首を前方に屈曲させたり、左右に側屈させる動作を行います。
  2. 肋骨の挙上(Elevation of the Ribs):
    • 斜角筋は、呼吸時に第1および第2肋骨を挙上し、胸腔を拡大して吸気を助けます。
  3. 首の安定化(Stabilization of the Neck):
    • 斜角筋は、首の安定性を保ち、姿勢を維持する役割を果たします。

斜角筋の役割と日常動作

  1. 呼吸:
    • 斜角筋は、深呼吸や激しい運動時に肋骨を挙上し、呼吸を補助します。
  2. 首の運動:
    • 斜角筋は、日常生活やスポーツにおいて、首の屈曲や側屈を行う動作に関与します。
  3. 姿勢の維持:
    • 斜角筋は、頭と首を支え、正しい姿勢を維持するのに重要です。

斜角筋の強化方法

  1. 首の屈曲エクササイズ(Neck Flexion Exercises):
    • 仰向けに寝て、顎を胸に引き寄せる動作で前斜角筋を強化します。
  2. 側屈エクササイズ(Lateral Flexion Exercises):
    • 立位や座位で、頭を左右に倒す動作で中斜角筋および後斜角筋を鍛えます。
  3. 抵抗を使った首の運動(Resisted Neck Exercises):
    • 手やタオルを使って、頭に抵抗を加えながら首を動かすエクササイズで斜角筋を強化します。
  4. ヨガやピラティス(Yoga and Pilates):
    • ヨガやピラティスのポーズや動作を通じて、斜角筋を含む首周りの筋肉を鍛えます。

斜角筋のストレッチ

  1. 側屈ストレッチ(Lateral Neck Stretch):
    • 座位や立位で、片手を頭の上に置き、ゆっくりと頭を反対側に倒して斜角筋をストレッチします。
  2. 首の回旋ストレッチ(Neck Rotation Stretch):
    • 座位や立位で、ゆっくりと頭を左右に回旋させて斜角筋を伸ばします。
  3. 肩甲骨挙上ストレッチ(Scapular Elevation Stretch):
    • 片腕を頭の上に伸ばし、肩甲骨を上げて斜角筋をストレッチします。

斜角筋の関連疾患と怪我

  1. 斜角筋症候群(Scalene Syndrome):
    • 斜角筋が過度に緊張または短縮すると、腕や肩、首に痛みやしびれが生じる状態です。
  2. 斜角筋の引きつり(筋痙攣):
    • 斜角筋が過度の使用や急激な動作により引きつることがあります。
  3. 胸郭出口症候群(Thoracic Outlet Syndrome):
    • 斜角筋が過度に発達することで、神経や血管を圧迫し、手や腕に痛みやしびれが生じる状態です。

斜角筋の健康維持

  1. 適切なウォームアップとクールダウン:
    • 首のエクササイズやストレッチを行い、筋肉を準備し、リカバリーを促進します。
  2. 正しい姿勢の保持:
    • 日常生活や運動中に正しい姿勢を保つことで、斜角筋にかかる負担を軽減します。
  3. バランスの取れたトレーニング:
    • 斜角筋だけでなく、他の首周りや体幹筋肉もバランスよく鍛えることで、全体的な強化と安定性が向上します。
  4. 適切な栄養摂取:
    • 筋肉の成長と回復を促進するために、適切なタンパク質や栄養素を摂取します。

まとめ

斜角筋は、首の運動、姿勢の維持、呼吸の補助に重要な役割を果たす筋肉群です。日常生活やスポーツにおいて、呼吸や首の動き、姿勢の維持に関与します。斜角筋の健康を維持し、効果的に鍛えるためには、適切なエクササイズ、ストレッチ、栄養摂取が必要です。斜角筋を大切にし、全体的なフィットネスと健康を向上させるために、バランスの取れたトレーニングを行いましょう。

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この記事を書いた人

パーソナルトレーニング/治療院 連動性療法のバックエイジング。痛みのある部位だけではなく、痛みのある動きに影響を与えている関連している全身の関節の動きにも着目し、正しい筋の使い方に戻していきます。全身の連動性を高めるため、結果的に痛みを取り除くだけではなく、疲れにくく、怪我のしにくい体に若返らせることを目指しています。

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