尺骨 (Ulna)とは

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尺骨 (Ulna)

概要

尺骨(しゃっこつ、英: Ulna)は、前腕の内側(小指側)に位置する長骨で、肘関節と手首関節を形成し、前腕の安定性と動きを提供します。尺骨は、橈骨(Radius)と並行して走り、前腕の回旋(回外と回内)や屈曲・伸展運動に関与します。

尺骨の構造

尺骨は、以下の主要な部分から構成されています:

  1. 近位端 (Proximal End):
    • 肘頭 (Olecranon):
      • 肘の後ろに突き出る部分で、上腕三頭筋(Triceps Brachii)が付着し、肘の伸展を助けます。
    • 滑車切痕 (Trochlear Notch):
      • 上腕骨滑車(Trochlea of Humerus)と関節を形成し、肘関節の主要な屈曲・伸展動作を提供します。
    • 鈎状突起 (Coronoid Process):
      • 上腕骨と接触し、肘の屈曲を制限します。
    • 橈骨切痕 (Radial Notch):
      • 橈骨頭(Head of Radius)と関節を形成し、前腕の回旋を可能にします。
  2. 骨幹 (Shaft):
    • 尺骨の中央部分で、前腕の主要な骨構造を形成します。
    • 前縁 (Anterior Border):
      • 尺骨の前面に位置し、前腕の筋肉が付着します。
    • 後縁 (Posterior Border):
      • 尺骨の後面に位置し、前腕の筋肉が付着します。
    • 外側縁 (Lateral Border):
      • 尺骨の外側に位置し、橈骨と並行して走ります。
  3. 遠位端 (Distal End):
    • 尺骨頭 (Head of Ulna):
      • 尺骨の遠位端に位置し、橈骨切痕(Ulnar Notch of Radius)と関節を形成します。
    • 尺骨茎状突起 (Styloid Process of Ulna):
      • 手首の内側に突き出る部分で、手首の安定性を提供します。

尺骨の機能

  1. 前腕の安定性:
    • 尺骨は前腕の内側に位置し、前腕の全体的な安定性を提供します。
  2. 肘関節の形成:
    • 尺骨は上腕骨と関節を形成し、肘の屈曲と伸展を可能にします。
  3. 前腕の回旋:
    • 尺骨は橈骨と連携し、前腕の回外(手のひらを上に向ける)と回内(手のひらを下に向ける)を可能にします。
  4. 手首関節の形成:
    • 尺骨は手根骨と連結して手首関節を形成し、手の動きと安定性を提供します。

尺骨に付着する主な筋肉

  1. 上腕三頭筋 (Triceps Brachii):
    • 肘頭に付着し、肘の伸展を助けます。
  2. 上腕筋 (Brachialis):
    • 鈎状突起に付着し、肘の屈曲を助けます。
  3. 円回内筋 (Pronator Teres):
    • 橈骨切痕の近くに付着し、前腕の回内を助けます。
  4. 尺側手根屈筋 (Flexor Carpi Ulnaris):
    • 尺骨の中央部と遠位端に付着し、手首の屈曲と内転を助けます。
  5. 尺側手根伸筋 (Extensor Carpi Ulnaris):
    • 尺骨の遠位端に付着し、手首の伸展と内転を助けます。

尺骨の関連疾患と怪我

  1. 尺骨骨折 (Ulna Fracture):
    • 尺骨の骨折は、転倒や衝撃によって発生しやすいです。
    • 特にモンテギア骨折(Monteggia Fracture)は、尺骨の骨折と橈骨頭の脱臼を伴う複雑な骨折です。
    • 症状には、痛み、腫れ、動きの制限などが含まれます。
    • 治療には、安静、固定、場合によっては手術が必要です。
  2. 尺骨神経麻痺 (Ulnar Nerve Palsy):
    • 尺骨神経が圧迫されるか損傷することで発生します。
    • 症状には、小指と薬指のしびれ、手の筋力低下、握力の低下が含まれます。
    • 治療には、安静、理学療法、場合によっては手術が必要です。
  3. 尺骨突起炎 (Olecranon Bursitis):
    • 肘頭の滑液包が炎症を起こし、腫れと痛みを引き起こします。
    • 治療には、安静、アイシング、場合によっては滑液包の排液が必要です。

尺骨の健康維持

  1. ストレッチとエクササイズ:
    • 尺骨周りの筋肉を強化し、柔軟性を維持することで、怪我を予防します。
  2. 正しいフォームとテクニック:
    • 運動や重い物を持ち上げる際に、正しいフォームとテクニックを使用することで、尺骨への負担を軽減します。
  3. 保護具の使用:
    • スポーツや危険な活動を行う際には、適切な保護具を使用して尺骨を保護します。

まとめ

尺骨は、前腕の重要な骨であり、肘関節の形成、前腕の回旋、手首の安定性において重要な役割を果たします。尺骨の健康を維持するためには、定期的なストレッチとエクササイズ、正しいフォームとテクニックの使用、適切な保護具の使用が重要です。尺骨を大切にし、日常生活やスポーツ活動においてその機能を最大限に活かすことが、全体的な健康と幸福感を高める鍵となります。

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この記事を書いた人

パーソナルトレーニング/治療院 連動性療法のバックエイジング。痛みのある部位だけではなく、痛みのある動きに影響を与えている関連している全身の関節の動きにも着目し、正しい筋の使い方に戻していきます。全身の連動性を高めるため、結果的に痛みを取り除くだけではなく、疲れにくく、怪我のしにくい体に若返らせることを目指しています。

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