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尺骨 (Ulna)とは
目次
尺骨 (Ulna)
概要
尺骨(しゃっこつ、英: Ulna)は、前腕の内側(小指側)に位置する長骨で、肘関節と手首関節を形成し、前腕の安定性と動きを提供します。尺骨は、橈骨(Radius)と並行して走り、前腕の回旋(回外と回内)や屈曲・伸展運動に関与します。
尺骨の構造
尺骨は、以下の主要な部分から構成されています:
- 近位端 (Proximal End):
- 肘頭 (Olecranon):
- 肘の後ろに突き出る部分で、上腕三頭筋(Triceps Brachii)が付着し、肘の伸展を助けます。
- 滑車切痕 (Trochlear Notch):
- 上腕骨滑車(Trochlea of Humerus)と関節を形成し、肘関節の主要な屈曲・伸展動作を提供します。
- 鈎状突起 (Coronoid Process):
- 上腕骨と接触し、肘の屈曲を制限します。
- 橈骨切痕 (Radial Notch):
- 橈骨頭(Head of Radius)と関節を形成し、前腕の回旋を可能にします。
- 肘頭 (Olecranon):
- 骨幹 (Shaft):
- 尺骨の中央部分で、前腕の主要な骨構造を形成します。
- 前縁 (Anterior Border):
- 尺骨の前面に位置し、前腕の筋肉が付着します。
- 後縁 (Posterior Border):
- 尺骨の後面に位置し、前腕の筋肉が付着します。
- 外側縁 (Lateral Border):
- 尺骨の外側に位置し、橈骨と並行して走ります。
- 遠位端 (Distal End):
- 尺骨頭 (Head of Ulna):
- 尺骨の遠位端に位置し、橈骨切痕(Ulnar Notch of Radius)と関節を形成します。
- 尺骨茎状突起 (Styloid Process of Ulna):
- 手首の内側に突き出る部分で、手首の安定性を提供します。
- 尺骨頭 (Head of Ulna):
尺骨の機能
- 前腕の安定性:
- 尺骨は前腕の内側に位置し、前腕の全体的な安定性を提供します。
- 肘関節の形成:
- 尺骨は上腕骨と関節を形成し、肘の屈曲と伸展を可能にします。
- 前腕の回旋:
- 尺骨は橈骨と連携し、前腕の回外(手のひらを上に向ける)と回内(手のひらを下に向ける)を可能にします。
- 手首関節の形成:
- 尺骨は手根骨と連結して手首関節を形成し、手の動きと安定性を提供します。
尺骨に付着する主な筋肉
- 上腕三頭筋 (Triceps Brachii):
- 肘頭に付着し、肘の伸展を助けます。
- 上腕筋 (Brachialis):
- 鈎状突起に付着し、肘の屈曲を助けます。
- 円回内筋 (Pronator Teres):
- 橈骨切痕の近くに付着し、前腕の回内を助けます。
- 尺側手根屈筋 (Flexor Carpi Ulnaris):
- 尺骨の中央部と遠位端に付着し、手首の屈曲と内転を助けます。
- 尺側手根伸筋 (Extensor Carpi Ulnaris):
- 尺骨の遠位端に付着し、手首の伸展と内転を助けます。
尺骨の関連疾患と怪我
- 尺骨骨折 (Ulna Fracture):
- 尺骨の骨折は、転倒や衝撃によって発生しやすいです。
- 特にモンテギア骨折(Monteggia Fracture)は、尺骨の骨折と橈骨頭の脱臼を伴う複雑な骨折です。
- 症状には、痛み、腫れ、動きの制限などが含まれます。
- 治療には、安静、固定、場合によっては手術が必要です。
- 尺骨神経麻痺 (Ulnar Nerve Palsy):
- 尺骨神経が圧迫されるか損傷することで発生します。
- 症状には、小指と薬指のしびれ、手の筋力低下、握力の低下が含まれます。
- 治療には、安静、理学療法、場合によっては手術が必要です。
- 尺骨突起炎 (Olecranon Bursitis):
- 肘頭の滑液包が炎症を起こし、腫れと痛みを引き起こします。
- 治療には、安静、アイシング、場合によっては滑液包の排液が必要です。
尺骨の健康維持
- ストレッチとエクササイズ:
- 尺骨周りの筋肉を強化し、柔軟性を維持することで、怪我を予防します。
- 正しいフォームとテクニック:
- 運動や重い物を持ち上げる際に、正しいフォームとテクニックを使用することで、尺骨への負担を軽減します。
- 保護具の使用:
- スポーツや危険な活動を行う際には、適切な保護具を使用して尺骨を保護します。
まとめ
尺骨は、前腕の重要な骨であり、肘関節の形成、前腕の回旋、手首の安定性において重要な役割を果たします。尺骨の健康を維持するためには、定期的なストレッチとエクササイズ、正しいフォームとテクニックの使用、適切な保護具の使用が重要です。尺骨を大切にし、日常生活やスポーツ活動においてその機能を最大限に活かすことが、全体的な健康と幸福感を高める鍵となります。