肩甲骨 (Scapula)とは

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肩甲骨 (Scapula)

概要

肩甲骨(けんこうこつ、英: Scapula)は、上背部に位置する大きな三角形の骨で、肩の関節を形成し、腕の動きをサポートします。肩甲骨は、胸郭の背面に位置し、肩甲帯の一部として機能します。肩甲骨は、鎖骨(Clavicle)と共に肩関節を構成し、多くの筋肉が付着しているため、腕や肩の広範な動きを可能にします。

肩甲骨の構造

肩甲骨は、以下の主要な部分から構成されています:

  1. 棘 (Spine of Scapula):
    • 肩甲骨の背面を横切る突出部で、肩甲棘(けんこうきょく)とも呼ばれます。この棘は、肩甲骨を上部(上角)と下部(下角)に分けます。
  2. 肩峰 (Acromion):
    • 肩甲棘の延長部分で、鎖骨と連結し、肩の最高点を形成します。多くの筋肉が付着し、肩関節の安定性を提供します。
  3. 烏口突起 (Coracoid Process):
    • 肩甲骨の前面に位置する突起で、複数の筋肉と靭帯が付着します。
  4. 関節窩 (Glenoid Cavity):
    • 肩甲骨の外側縁にある浅いくぼみで、上腕骨(Humerus)の頭部と連結し、肩関節(肩関節窩)を形成します。
  5. 上角 (Superior Angle):
    • 肩甲骨の上部の角で、肩甲挙筋(Levator Scapulae)などの筋肉が付着します。
  6. 下角 (Inferior Angle):
    • 肩甲骨の下部の角で、広背筋(Latissimus Dorsi)などの筋肉が付着します。
  7. 内側縁 (Medial Border):
    • 脊柱に近い側の縁で、多くの筋肉が付着し、肩甲骨の動きを制御します。
  8. 外側縁 (Lateral Border):
    • 脇の下に近い側の縁で、腕の動きをサポートします。

肩甲骨に付着する主な筋肉

  1. 僧帽筋 (Trapezius):
    • 肩甲棘と肩峰に付着し、肩甲骨の挙上、内転、回旋を助けます。
  2. 肩甲挙筋 (Levator Scapulae):
    • 上角に付着し、肩甲骨を挙上し、内側に引き寄せます。
  3. 菱形筋 (Rhomboids):
    • 小菱形筋と大菱形筋があり、内側縁に付着し、肩甲骨を内転させ、肩甲棘を安定させます。
  4. 前鋸筋 (Serratus Anterior):
    • 外側縁に付着し、肩甲骨を前方に引き出し、胸郭に固定します。
  5. 棘上筋 (Supraspinatus):
    • 棘上窩に付着し、腕の外転を助けます。
  6. 棘下筋 (Infraspinatus):
    • 棘下窩に付着し、腕の外旋を助けます。
  7. 小円筋 (Teres Minor):
    • 外側縁に付着し、腕の外旋を助けます。
  8. 大円筋 (Teres Major):
    • 下角に付着し、腕の内旋と内転を助けます。

肩甲骨の動き

肩甲骨は、複数の方向に動くことができ、これにより腕の広範な動きをサポートします。主な動きには以下があります:

  1. 挙上 (Elevation):
    • 肩甲骨を上に引き上げる動き。例:肩をすくめる。
  2. 下制 (Depression):
    • 肩甲骨を下に下げる動き。例:肩を下ろす。
  3. 内転 (Retraction):
    • 肩甲骨を脊柱に向かって引き寄せる動き。例:肩甲骨を寄せる。
  4. 外転 (Protraction):
    • 肩甲骨を前方に引き出す動き。例:肩を前に押し出す。
  5. 上方回旋 (Upward Rotation):
    • 肩甲骨の下角が外側に回転する動き。例:腕を上に上げる。
  6. 下方回旋 (Downward Rotation):
    • 肩甲骨の下角が内側に回転する動き。例:腕を下ろす。

肩甲骨の機能

  1. 安定性の提供:
    • 肩甲骨は肩関節の安定性を提供し、腕の動きをサポートします。
  2. 運動範囲の拡大:
    • 肩甲骨の動きにより、腕の運動範囲が拡大され、多様な動作が可能になります。
  3. 筋肉の付着点:
    • 多くの筋肉が肩甲骨に付着し、肩や腕の動きを制御します。
  4. 力の伝達:
    • 肩甲骨は上肢から体幹への力の伝達を助け、効率的な運動を可能にします。

肩甲骨の健康維持

  1. ストレッチング:
    • 肩甲骨周りの筋肉を定期的にストレッチすることで、柔軟性と可動性を維持します。
  2. 筋力トレーニング:
    • 肩甲骨を安定させる筋肉を強化することで、肩の安定性と機能を向上させます。
  3. 姿勢の改善:
    • 良い姿勢を保つことで、肩甲骨への負担を軽減し、肩の健康を維持します。
  4. 定期的な休息:
    • 長時間のデスクワークや同じ姿勢を続けることを避け、定期的に休息と動きを取り入れます。

まとめ

肩甲骨は、肩と腕の動きを支える重要な骨であり、その健康と機能を維持することは全体的な運動能力と日常生活の快適さに大きな影響を与えます。適切なストレッチや筋力トレーニング、姿勢の改善を通じて肩甲骨の健康を維持し、肩や腕の動きを最大限に活かすことが重要です。

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この記事を書いた人

パーソナルトレーニング/治療院 連動性療法のバックエイジング。痛みのある部位だけではなく、痛みのある動きに影響を与えている関連している全身の関節の動きにも着目し、正しい筋の使い方に戻していきます。全身の連動性を高めるため、結果的に痛みを取り除くだけではなく、疲れにくく、怪我のしにくい体に若返らせることを目指しています。

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