前鋸筋 (Serratus Anterior)とは

目次

前鋸筋 (Serratus Anterior)

概要

前鋸筋(ぜんきょきん、英: Serratus Anterior)は、胸郭の外側に位置し、肩甲骨の動きや安定性に重要な役割を果たす筋肉です。前鋸筋は、上部の肋骨から起始し、肩甲骨の内側縁に停止します。この筋肉は、肩甲骨の前方移動と上方回旋を助け、肩関節の可動域を広げる役割を持っています。

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前鋸筋の構造

前鋸筋は、以下の主要な部分に分かれています:

  1. 起始:
    • 第1~第8(または第9)肋骨の外側部分から起始します。
  2. 停止:
    • 肩甲骨の内側縁および下角に停止します。

前鋸筋の機能

  1. 肩甲骨の前方移動(Protraction):
    • 前鋸筋は、肩甲骨を前方に引き、腕を前方に押し出す動作を助けます。これにより、パンチ動作や押し出す動作が可能になります。
  2. 肩甲骨の上方回旋(Upward Rotation):
    • 前鋸筋は、肩甲骨を上方に回旋させ、腕を上げる動作を助けます。これにより、頭上に腕を持ち上げる動作がスムーズに行えます。
  3. 肩甲骨の安定化(Scapular Stability):
    • 前鋸筋は、肩甲骨を胸郭に固定し、動作中の安定性を提供します。これにより、肩関節の安定性が向上します。

前鋸筋の役割と日常動作

  1. パンチ動作:
    • 前鋸筋は、パンチを打つ際に肩甲骨を前方に移動させる動作において重要な役割を果たします。
  2. 押し出す動作:
    • プッシュアップやプッシュプレスなど、押し出す動作において前鋸筋が活躍します。
  3. 頭上動作:
    • 物を頭上に持ち上げる際に、肩甲骨の上方回旋を助ける前鋸筋が必要です。

前鋸筋の強化方法

  1. プッシュアッププラス(Push-Up Plus):
    • 通常のプッシュアップに加え、腕を伸ばした状態で肩甲骨を前方に押し出す動作を行います。これにより、前鋸筋を効果的に鍛えます。
  2. バンドプルアパート(Band Pull-Apart):
    • レジスタンスバンドを使用して、腕を前方に伸ばし、肩甲骨を前方に引き寄せる動作で前鋸筋を強化します。
  3. スキャプラープッシュアップ(Scapular Push-Ups):
    • プッシュアップの姿勢で、腕を固定したまま肩甲骨を上下に動かすことで前鋸筋を鍛えます。
  4. オーバーヘッドプレス(Overhead Press):
    • ダンベルやバーベルを使って、頭上に重りを持ち上げる動作で、前鋸筋を含む上半身全体を強化します。

前鋸筋のストレッチ

  1. ウォールストレッチ(Wall Stretch):
    • 壁に手をつき、体を前方に倒しながら肩甲骨を伸ばします。これにより、前鋸筋をストレッチします。
  2. アームレイズストレッチ(Arm Raise Stretch):
    • 片腕を頭上に上げ、反対の手で肘を持ち、肩甲骨を引き上げて前鋸筋をストレッチします。

前鋸筋の関連疾患と怪我

  1. 前鋸筋の筋肉疲労(Muscle Fatigue):
    • 過度の使用やストレスにより、前鋸筋が疲労し、痛みを引き起こすことがあります。
  2. 翼状肩甲骨(Scapular Winging):
    • 前鋸筋が弱化または麻痺すると、肩甲骨が胸郭から離れ、翼状肩甲骨が生じます。これにより、肩関節の不安定性が増し、痛みや動作制限が生じます。
  3. 肩甲骨不安定症(Scapular Dyskinesis):
    • 前鋸筋の不均衡や弱化により、肩甲骨の動きに異常が生じることがあります。これにより、肩関節の動作が制限されることがあります。

前鋸筋の健康維持

  1. 適切なウォームアップとクールダウン:
    • エクササイズ前後には、十分なウォームアップとクールダウンを行い、筋肉を準備し、リカバリーを促進します。
  2. 正しいフォームの使用:
    • エクササイズ時には、正しいフォームを保ち、筋肉や関節に過度の負担をかけないようにします。
  3. バランスの取れたトレーニング:
    • 前鋸筋だけでなく、他の肩甲骨周囲の筋肉もバランスよく鍛えることで、全体的な肩関節の安定性と機能が向上します。
  4. 適切な栄養摂取:
    • 筋肉の成長と回復を促進するために、適切なタンパク質や栄養素を摂取します。

まとめ

前鋸筋は、肩甲骨の動きや安定性に重要な役割を果たす筋肉です。日常生活やスポーツにおいて、パンチ動作、押し出す動作、頭上動作などに関与します。前鋸筋の健康を維持し、効果的に鍛えるためには、適切なエクササイズ、ストレッチ、栄養摂取が必要です。前鋸筋を大切にし、全体的なフィットネスと健康を向上させるために、バランスの取れたトレーニングを行いましょう。

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この記事を書いた人

パーソナルトレーニング/治療院 連動性療法のバックエイジング。痛みのある部位だけではなく、痛みのある動きに影響を与えている関連している全身の関節の動きにも着目し、正しい筋の使い方に戻していきます。全身の連動性を高めるため、結果的に痛みを取り除くだけではなく、疲れにくく、怪我のしにくい体に若返らせることを目指しています。

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